ボタンダウンシャツのブランド|ネクタイ有無関わらず着こなすコーデ

襟先をボタンでとめるタイプのボタンダウンシャツ。そんなビジネスでもカジュアルでも大活躍するボタンダウンシャツを深掘りし、シーン別の注意点や歴史を紐解いた着こなし方法、そして10個のおすすめのブランドとその代表的なアイテムをご紹介します。

ボタンダウンシャツの基礎知識

ボタンダウンシャツとは

ボタンダウンシャツとは、襟先をボタンで首の付根に留めることが出来るタイプのシャツです。そのため、常に襟をシュッとコンパクトにまとめておくことが出来、シャープな首元を保つことが出来ます。ネクタイを付けても外してもどちらのスタイルでもオシャレに着られることから、ネクタイを締めたビジネス、ノーネクタイのクールビズ、カジュアルに普段着など、様々なシーンで愛用されているシャツです。 しかしこのシャツ、このように近年ビジネスシーンで多く着られることが多い反面、少しカジュアルすぎるという評判を受けることが多くあるため、着ていくシーンによっては注意が必要です。 見た目はむしろスリムで真面目な印象のボタンダウンシャツですが、カジュアルすぎると言われるのにはその歴史に理由があります。

ボタンダウンシャツの歴史

ボタンダウンシャツがあのようなスタイルになったのは、元々ポロ競技のときに着ていたシャツが由来していると言われています。ポロ競技とは、馬に乗ってボールを打ち合う「騎馬ホッケー」の通称で、ラルフローレンの乗馬をしているようなあのマークもこのスポーツが元になっています。そんなポロ競技を行うときに着ていたシャツに、風で襟が浮き上がって邪魔になるのを防ぐためにボタンが付けられたのが、ボタンダウンの起源という説があります。 そして、1896年にニューヨーク紳士服ブランドであるブルックスブラザーズの創立者の孫のジョン・E・ブルックスが、イギリスでポロの試合を観戦している時にこのスタイルのシャツに注目し、後にニューヨークの工場で制作したシャツが、現在に伝わるボタンダウンシャツの第一号となりました。そのため、ブルックスブラザーズ内は今でも『ポロカラー』と呼ばれています。 このエピソードからもわかるように、ボタンダウンシャツは元々スポーツ用のシャツ。そのため、100年以上たった今でもカジュアルなシャツというイメージが強いアイテムなんです。

ボタンダウンシャツのシーン別注意点

カジュアルなシーンでは大活躍

もともと歴史的にカジュアルな成り立ちかつネクタイを締めなくても襟元がシュッとまとまるので、カジュアルシーンではもってこいのアイテムです。代表的なオックスフォードシャツの糸が太くてやや固めの印象の生地や、シャンブレー生地やデニム生地のような素材感が強いシャツだとよりカジュアルさが増します。

さらに、シャツは物によっては洗濯やクリーニングを繰り返すと襟元が広がってきてかっこ悪く見えてしまうことがありますが、ボタンダウンシャツにはもちろんそんなことはないので、長い間着られる持ちの良いアイテムです。ボトムスに合わせるものもデニムやチノパンなど、カジュアルなパンツと相性抜群!利便性の高いシャツです。

冠婚葬祭には身につけない

このようにカジュアルな印象の強いシャツなので、冠婚葬祭のようなフォーマルな場には適しません。そのため、しっかりとドレスコードがある場やホテルでの結婚式ではボタンダウンシャツは控えたほうが賢明です。

もちろんカジュアルなレストランウェディング、二次会ではボタンダウンシャツでも問題なく着れます。このあたりのルールは何かと気を使いますが、ゲスト側はメインや主催者側への敬意も込めて是非守りたいところです。

海外ではビジネスでも受け入れられない

また、海外ではボタンダウンシャツはスーツのインナーとして着るものではなく、ビジネスの場には適さないシャツとされています。これも見た目がどう、ということではなく、元々スーツはそれ自体がフォーマルなものですがボタンダウンシャツは本来カジュアルなもの。そのため合わせると水と油のように混ざり合わないというイメージが強いようです。

ジャケットを合わせるとしても、スーツではなくブレザーを合わせるのみにして全体的にカジュアルなテイストに合わせて着るもの、というのが海外で持たれている印象です。

アメリカントラディショナルのみ例外

しかしそんなイメージのボタンダウンシャツでも、アメリカントラディショナルなコーディネートの場合だとスーツと一緒に合わせられることも多くあります。アメリカントラディショナルといえばやはりブルックスブラザーズを代表するような、アイビールックなど東海岸で発展した伝統的なスタイル。I型と呼ばれる絞りのないアメリカントラディショナルのスーツなら、むしろボタンダウンシャツが本命だ、という意見もあります。

これはもはや流派みたいなもので、それぞれの国やスタイルのアイデンティティを表しているため様々な意見があります。日本人同士ではそこまで考える必要はないと思いますが、外国人との商談がある場合は少し注意が必要です。そんなときには基本的にボタンダウンシャツは控えるのが吉ですが、もし相手の会社が例えばニューヨークに本社のある伝統的な社風の会社の時などは、印象付けのためにあえてボタンダウンを選択するというのもありかもしれません。

ビジネス用途でも活躍

このように海外では色々な論争を巻き起こしてきたボタンダウンシャツですが、日本国内ではビジネスの場で着るというスタイルもしっかし市民権を得ています。NHKのキャスターや政治家などでもスーツにボタンダウンシャツ、そしてネクタイという着こなしをしている方もいるくらいなので、よほど上記のような海外の歴史的な側面にこだわっている方がいなければ、何も問題なく着れるシャツです。

むしろ夏場のクールビズの時などは、ネクタイをしなくても襟元のVゾーンがしっかりとしてシャープな印象を損なわないため、日本の夏を涼しくする強い味方のような存在ですね。

ボタンダウンシャツの着こなし

続いてボタンダウンシャツを着るときに抑えたいポイントです。カジュアルなシャツなので明確ルールというわけではないですが、最低限気をつけたい部分です。

襟先のボタンは締める

あえてボタンダウンの襟元のボタンを外し、カジュアル感を抑えるというような着方がありますが、襟元を綺麗に見せるためにもボタンはしっかり締めておきたいところです。元々の成り立ちも、風で襟が跳ね上がらないようにという目的でボタンで留められているので、ここは無難に留めることをおすすめします。

ノーネクタイの場合第一ボタンは外す

ノーネクタイでボタンダウンシャツを切る場合は、第一ボタンをはずずのがおすすめです。ボタンダウンシャツは襟が首元から襟先にかけてふわっとカーブを描くのが良しとされています。第一ボタンまで留めてしまうと首元からカクっと襟が折れてこのカーブを作れないので、ボタンは一つ開けてゆったりと曲線を作ってあげるのが良いでしょう。

ボタンダウンシャツのコーディネート

続いてボタンダウンシャツを用いたコーディネートをいくつかのパターンに分けてご紹介していきます。

ボタンダウンシャツ1枚でカジュアルに

ボタンダウンシャツが持つ元々のカジュアルさを活かしたシンプルなコーディネートです。ボタンダウンシャツならチノパン・デニム・カーゴどんなボトムスでもカジュアルに合わせることが出来ます。

ジャケットやネクタイと合わせてクラシックに

ボタンダウンシャツにジャケットやネクタイを合わせてカジュアルに着こなす場合は、このようなクラシックな雰囲気にまとめるととてもおしゃれです。

また、シャツに合わせるアイテムはウール地のものなど、ナチュラルな素材感を持つ生地の方がよりカジュアルさが引き立つのでおすすめです。1つめのコーディネートはジャケット・ネクタイともにとてもカジュアルなので、ボトムスにデニムを持ってきていますが違和感が全くありません。3つめのコーディネートではニット地のネクタイを合わせていて、フォームは全体的にシャープで洗練された雰囲気ですがやわらかな素材から暖かみが溢れています。

伝統的なアメリカントラディショナルで

肩はパッドレス、身頃は絞りがなく、袖飾りボタンは3つ。そんなアメリカンスーツとボタンダウンシャツを合わせた伝統的なアメリカントラディショナルスタイルです。

1枚目のポール・ニューマンはまさに合衆国が産んだアメリカンジェントルマン。アメリカントラディッショナルが板についてカッコいいですね。

おすすめのブランド10選とアイテム

最後に高品質かつ正統派スタイルのボタンダウンシャツを製造しているブランドをご紹介します。どのブランドも比較的長い伝統を持っているため、ビジネスでもカジュアルでも、着ていてつい自慢したくなるようなアイテムを見つけられます。

THE BAGGY(バギー)

THE BAGGYは、ハワードグロスマンという70年代な中頃BrooksBrothersの別注シャツを手がけていた方が立ち上げたブランド。工場をボストン近郊のマサチューセッツに構えていて、生産の拠点を海外の工場に移すブランドが多い中、品質の高いアメリカ製のシャツを守っている職人気質なブランドです。

INDIVIDUALIZED SHIRTS（インディビジュアライズドシャツ）

1961年にニュージャージー州でカスタムメイドシャツ専門メーカーとして設立されたブランドです。現在ではアメリカのカスタムオーダーシャツ市場でトップクラスの規模を誇り、歴代の大統領やハリウッドセレブ、スポーツ選手などから愛用されています。

GITMAN BROS(ギットマンブラザーズ)

GITMAN BROS(ギットマンブラザーズ)は1948年にアメリカペンシルバニアで設立されました。アメリカ製のシャツにこだわっているブランドで、上記INDIVIDUALIZED SHIRTS（インディビジュアライズドシャツ）の系列店としても知られています。

RALPH LAUREN(ラルフローレン)

1968年に設立された、世界的に有名なアメリカントラディッショナルブランド。胸元にあるポロスポーツの躍動的なマークは誰もが見たことのあるトレードマークかと思います。クラシックなイギリスのスタイルをアメリカンにアレンジしたブランドのテイストに、日本でも多くのファンがいます。

IKE BEHAR(アイク ベーハー)

IKE BEHARはラルフローレンのシャツを生産していた工場として知られていますが、アメリカではカスタムオーダーも受けるような高級シャツメーカーとしても有名です。現在でも北米に3つの直営店をもち、高品質なアイテムを好むファンから支持されています。なんとアカデミー受賞歴もある超有名俳優ジャック・ニコルソンをはじめ、多くの著名人から愛されているそうです。

Gymphlex(ジムフレックス)

1906年に設立されたイギリス発の伝統的なスポーツウェアブランドです。日本での知名度は同じイギリスブランドのバーバリーやポール・スミスと比べてやや低いですが、イギリスではプロスポーツチームのユニフォームを生産するなど、由緒正しきブランドです。

J.PRESS(ジェイ・プレス)

1902年にコネチカット州ニューヘイブンにおいてジャコビ・プレス（Jacobi Press）によって設立されたこちらも長い歴史を誇るブランドです。アイビースタイルのブランドイメージを持ち、三つボタン式のジャケットやストライプやペイズリー柄のネクタイなど、伝統的なデザインのアイテムを多く取り扱っています。

SERO(セロ)

1929年にアメリカ・コネティカット州ニューヘブンにて設立されたシャツブランド。地元アイビーリーグ校のエール大学で人気が高かったことから、1980年代のアイビーブームの際にとても注目され、やがて代表的なアメリカントラディッショナルブランドの一つとして名を連ねるまでになりました。

THOM BROWNE(トムブラウン)

2001年にトム・ブラウンによって設立されたブランド。50~60年代前半のスタイルに影響を受け、アメリカントラディッショナルをベースにしつつ、カジュアルよりはドレススーツスタイルを取り入れた独特のスタイルに多くのファンがいます。

Brooks Brothers（ブルックスブラザーズ）

1818年にヘンリー・サンズ・ブルックスによって設立された、今回ご紹介するブランドでは最も歴史の長いブランド。アメリカントラディッショナルを世界に普及させ、その伝統を常に大切にしています。しかし伝統を重んじつつも『ボタンダウンシャツ』『ノーアイロンシャツ』『ブルックスクールスーツ』など革新的な製品を生み出しており、常に業界をリードする偉大な存在です。
 

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