今回はシャツに用いられる襟を種類別にご紹介。それぞれの種類の名前や特徴はもちろん、歴史やネクタイの合わせ方、着ていくシーンの注意点などをまとめていきます。
ファッションは用途や目的に応じてそれぞれのアイテム毎にデザイン・スタイル・細部の仕立てが確立されてきました。
特にメンズファッションでは、そういった背景が現代の着こなしやコーディネートにも大きな印象を与えているので、それぞれのスタイルは見た目以上に着ている方のイメージや印象を左右しています。この記事では、そういったファッションの深淵を少しでも深掘りしてもらえるとうれしいです。
目次
レギュラーカラー
襟の名称 | レギュラーカラー |
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英語での呼び方 | Point Collar |
特徴 | 襟先の開きの角度が75°〜90°程度で、喉元から襟の先端の長さが70ミリ〜75ミリ、襟足の高さが30ミリ〜38ミリの長さです。 |
歴史 | 第一次世界大戦以降、軍隊において最も用いられたことから『レギュラー』という名前が付くようになりました。 |
ネクタイの合わせ方 | 絵羽の開きが小さいため、同じく結び目の小さいプレーンノットやスモールノットのシャツと相性が良いです。またフォーマルな印象の強いシャツなので、ネクタイは着用することをおすすめします。 |
着用シーン | 結婚式・披露宴から葬式、ビジネスまで幅広く利用できます。 |
最もノーマルなタイプの襟。シャツ自体の主張がとても弱いため、主役の新郎新婦を立てる場である結婚式や、故人に敬意を払う葬式でも着ていくことが出来ます。白シャツでレギュラーカラーのものは最低限1枚は持っておきたいところです。Vゾーンが縦に長いジャケットとの相性が特に良いです。
セミワイドスプレッドカラー
襟の名称 | セミワイドスプレッドカラー |
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英語での呼び方 | Semi Spread Collar |
特徴 | 襟先の開きがレギュラーとワイドスプレッドの中間で、80°〜100°程度です。 |
歴史 | クラシックなワイドスプレッドカラーとレギュラーカラーの融合として作られたタイプの襟です。 |
ネクタイの合わせ方 | プレーンノットや、ウィンザーノットより結び目が一回り小さいセミウィンザーノットとの相性が良いです。 |
着用シーン | 結婚式・披露宴、及びビジネスの場でも利用できます。喪服としてはとがめられる程ではありませんが、可能ならレギュラーカラーもしくはワイドスプレッドカラーを着用しましょう。 |
襟先の開き具合が適度なので、ジャケットの形やタイの結び方を選ばず、とても用途の広いタイプの襟です。
ワイドスプレッドカラー
襟の名称 | ワイドスプレッドカラー |
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英語での呼び方 | Spread Collar |
特徴 | 襟先の開きが100°〜140°程度です。 |
歴史 | 1920年代〜1940年代のイギリス男性のファッションに大きな影響を与えたウィンザー公が好んでいたことで知られている、ブリティッシュトラディショナルを代表するような由緒正しいスタイルの襟です。ワイドスプレッドカラーは彼の名前にちなんでウィンザーカラーとも呼ばれています。 |
ネクタイの合わせ方 | 絵羽の開きが大きくタイのノットがよく見えるため結び目が大きくなる結び方がおすすめです。特にウィンザー公が同様に好んでいたウィンザーノットが、歴史的な背景も含め相性バツグンの結び方です。 |
着用シーン | 結婚式・披露宴から葬式、ビジネスまで幅広く利用できます。 |
レギュラーカラーと並びフォーマルなイメージのとても強い形式の襟。英国紳士風の出で立ちを追求するためにも、Huntsman(ハンツマン)やDunhill(ダンヒル)といったブリティッシュスーツと合わせることをおすすめします。
ホリゾンタルカラー(カッタウェイカラー)
襟の名称 | ホリゾンタルカラー(カッタウェイカラー) |
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英語での呼び方 | Cutaway Collar |
特徴 | 襟先の開きが180°近くまで達します。 |
歴史 | 18世紀前半に当時の英国ケント公爵によって提唱されたことによって一気に知名度があがり、その後イタリアやイギリスで愛用されてきました。 |
ネクタイの合わせ方 | ワイドスプレッドカラー同様にノットが目立つため、結び目の大きな結び方が合います。そのためウィンザーノットやセミウィンザーノットがおすすめです。またネクタイを着用しなくても襟が綺麗に広がるようにまとまるため、ノータイで着るのもおすすめです。 |
着用シーン | 結婚式・披露宴の場合知人や友人として出席する場合であれば着用可、親族や上司としての出席の場合は控えたほうが賢明です。ビジネスの場でも着用している方は多いですが、ややエッジの効いたスタイルなのでクライアントとの打ち合わせ等はなるべく白シャツのものを選択したほうが良いでしょう。 |
襟の開きが大きいため開放感があり、若々しく個性的な印象を与えてくれる襟です。首が太くても首元が詰まった印象にならないため、体型のがっしりとした方にもおすすめのタイプ。
ホリゾンタルカラー(カッタウェイカラー)に関しては、こちらの特集記事でも詳しくご紹介しています。
ボタンダウンカラー
襟の名称 | ボタンダウンカラー |
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英語での呼び方 | Button Down Collar |
特徴 | 襟先をボタンで前身頃にとめられるようになっています。襟先の開きはレギュラーカラー程度のものが多く、襟羽が短いショートボタンダウンというタイプもあります。 |
歴史 | もともとイギリスで人気のあったポロ競技で、風で襟がなびかないようにボタンで留めていたことに端を発します。そして、1896年にブルックスブラザーズの創立者の孫のジョン・E・ブルックスがイギリスでポロの試合を観戦している時にこのスタイルに注目し、後にニューヨークの工場で制作。これが現在に伝わるボタンダウンシャツの第一号となりました。 |
ネクタイの合わせ方 | もともとネクタイの着用を前提とせず、ネクタイが無くても立ち上がった襟を固定する役割があるため、ノーネクタイがおすすめ。ネクタイを着用する際は、襟元に余裕が少ないためプレーンノットやスモールノットといった結び目の小さい結び方が良いでしょう。 |
着用シーン | カジュアルテイストの強いシャツなので冠婚葬祭には向きませんが、カジュアルなドレスコードの結婚式の二次会であれば着用できます。ビジネスシーンにおいて、欧米では本来不向きとされていますが、アメリカントラディショナルの伝統を受け継ぐ東海岸ではむしろ歓迎されることもあります。日本では近年かなり一般的になってきたので、問題なく着用することが出来ます。 |
歴史をたどると意外とカジュアルなタイプの襟。しかしネクタイがあってもなくてもキマる利便性と美しさから、もはやなくてはならない襟の一種になっています。スーツと合わせる場合は、ブルックスブラザーズ等のアメリカントラディショナルなブランドがおすすめです。
ボタンダウンカラーに関しては、こちらの特集記事でも詳しくご紹介しています。
ラウンドカラー
襟の名称 | ラウンドカラー |
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英語での呼び方 | Club Collar |
特徴 | 襟先が丸く加工されているタイプです。絵羽の長さは短いものから長い(長いものはラビットカラーとも呼ばれています。)ものまで、襟先の開きもレギュラーカラー程度のものからワイドスプレッドカラー程度の開きのあるものまで様々な種類があります。 |
歴史 | イギリスの男子全寮制パブリックスクールであるイートン校で19世紀半ばに制服として使われていました。そしてそのメンバーしか着られないという意味で、海外では『クラブカラー』という呼び名一般的です。 |
ネクタイの合わせ方 | 絵羽の開きに合わせて結び目の大きさを帰るのがおすすめです。デザインに関してはトラッドな印象が強いため、ストライプのレジメンタルタイなどがおすすめです。 |
着用シーン | ドレッシー・クラシックかつ少し可愛い印象になるため結婚式の二次会など華やかな場との相性が良く、スーツの堅苦しさを和らげてくれます。しかしその反面ビジネスの場では相手の立場や年齢によって不自然に映る可能性もあるため、注意が必要です。 |
普段あまり見かけることの無いタイプの襟ですが、『ブルックスブラザーズ』『ポールスチュアート』『ラルフローレン』といったトラッドの本場アメリカのブランドでは多く見かけることがあります。また、クレリックシャツの襟先としてチョイスされることも多く、襟先の丸い可愛さを一層引き立てています。
ウィングカラー
襟の名称 | ウィングカラー |
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英語での呼び方 | Wingtip Collar |
特徴 | 襟足の部分は首に沿って立ち、襟先がは前に折れて鳥の翼のように広がっています。 |
歴史 | 19世紀半ばに生まれたグラッドストーンカラーという襟が立っているタイプから発展した襟です。また、イギリスのアスコット競馬場で当時の貴族がウィングカラーにアスコットタイを着用し正装として着こなしていたことから、この組み合わせが普及したと言われています。 |
ネクタイの合わせ方 | アスコットタイや蝶ネクタイとの相性が良いです。 |
着用シーン | 最もフォーマルなスタイルとして知られるウィングカラー。宮中の公式行事・式典・舞踏会・音楽会などフォーマルな場での着用が一般的です。結婚式であれば、正礼服・準礼服に合わせるシャツとして着用出来ます。 |
普段着ではなく特別なタイミングでしか身につけることのないタイプのシャツ。シャツはもちろん、結婚式で着用するモーニングコート・燕尾服・タキシード・ディレクターズスーツ・ブラックスーツ等は、出席する立場によって合わせる必要があります。そのあたりをクリアした上で非日常のウィングカラーを楽しみたいものです。
バンドカラー
襟の名称 | バンドカラー |
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英語での呼び方 | Band Collar |
特徴 | 首に沿って襟が立っていて、折り返しの襟羽がありません。 |
歴史 | かつてワークウェアとして使われていたものが、RRLやEngineered Garmentsといったブランドによって現代的な生地を用いてリバイバル。そのためどことなくクラシックな風合いを持ちつつも新しさを兼ね備えたようなスタイルです。 |
ネクタイの合わせ方 | ノーネクタイでの着用を前提としています。 |
着用シーン | カジュアルな結婚式の二次会以外は、冠婚葬祭・ビジネスの場での着用は控えましょう。 |
かつてとある海外の要人が『公』の場にて着用したという記録こそありますが、基本的にはカジュアルなスタイル。少し個性を出したい時などにチョイスしてみてはいかがでしょうか。
ドゥエボットーニカラー
襟の名称 | ドゥエボットーニカラー |
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英語での呼び方 | High Collar |
特徴 | 第一ボタンのある台襟にボタンが2つあり、襟が高く襟羽が大きめです。 |
歴史 | このタイプの襟には襟台のボタンが2つあります。これは19世紀襟の高さを競っていた時代に、襟が寝てしまわないように固定することを目的としていた名残りだと考えられています。 |
ネクタイの合わせ方 | 襟が高く、さらに美しく立つためノーネクタイでの着用がおすすめ。クールビズの時期などはよく目にするスタイルです。ネクタイを着用する場合はノットが浮いてしまわないよう、あまり襟台が高すぎないシャツを選ぶか、太めのネクタイで結び目が大きくなるよう結ぶのがおすすめです。 |
着用シーン | こちらも冠婚葬祭の場では控えたほうが賢明です。ビジネスの場ではノーネクタイのクールビズスタイルでの着用がおすすめです。 |
もともと襟を立てるためにボタンが複数個あるということで、多いものだと4個・5個とボタンをつけ、襟を高くしているシャツもあるようです。このように歴史的な背景を理解した上でファッションを選ぶと、一層着こなしが楽しくなりますね。
イタリアンカラー
襟の名称 | イタリアンカラー |
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英語での呼び方 | One Piece Collar |
特徴 | 台襟が無く、前身頃から襟にかけて一枚の生地が繋がってできています。 |
歴史 | 50年代後半にセーターの襟として流行し、その後シャツの襟として定着しました。 |
ネクタイの合わせ方 | ノーネクタイでの着用を前提としています。 |
着用シーン | カジュアルな結婚式の二次会以外は、冠婚葬祭・ビジネスの場での着用は控えましょう。 |
第一ボタンを留めずに着用するのが一般的。外した襟が前立からゆったりとカーブを描きながら広がり、その曲線がセクシーで美しいとされています。大人の色気を出したいときにおすすめのスタイルです。
クレリックカラー
襟の名称 | クレリックカラー |
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英語での呼び方 | White Collar Shirt |
特徴 | 襟とカフス(手首の部分)のみ白地で、それ以外が別の色のタイプのシャツです。 |
歴史 | 1920年代のロンドンで流行していたことから、ブリティッシュトラディショナルな華やかさを持つドレッシーなシャツというイメージが強いアイテムです。 |
ネクタイの合わせ方 | 襟元と身頃で色が異なり首元にアクセントが出るため、ノーネクタイでの着用もおすすめ。ネクタイを締める場合は、身頃の色とのバランスを合わせ、身頃の同系色や補色を基調としたカラーを選ぶと統一感が出ます。 |
着用シーン | クレリックにはレギュラーカラーのものやボタンダウンカラーのものなど様々あるため、シーンに合わせてこれまでご説明したそれぞれの襟のタイプを選択してください。また、クレリックカラーはドレッシーな印象を与えるため、結婚式などお祝いの場でもおすすめです。ビジネスにおいても近年良く見かけ市民権を得てきたため、問題なく着用できます。 |
必然的にシャツの色味が増えるので、ネクタイやスーツなどの統一感を出すのが少し難しく、やや上級者向けの襟元です。その分うまく着こなせたときは明るく知的な雰囲気が出るので、是非チャレンジして頂きたいスタイルです。
クレリックカラーに関しては、こちらの特集記事でも詳しくご紹介しています。
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